vivo第79号 NBRの新たな取り組み 老年医療試験モデルを確立しました!!
vivo 2014年4月号(第79号)2014年4月1日 業務企画部発行
NBRの新たな取り組みとして検討してきた「老年医療試験」の動物モデルを確立しました。本号では、今回確立した①PS2APPマウスを用いた認知症モデル、②正常ラットに塩酸とlipopolysaccharideを肺胞内投与することによる急性気道損傷モデル(誤嚥性肺炎モデル)、③尾懸垂法によるラットを用いた筋萎縮モデル(サルコペニアモデル)についてご紹介します。
① 認知症モデル
オープンフィールドの中央に滞在した時間の割合
認知症は、記憶・学習障害などの中核症状の他に、幻覚、妄想、興奮、攻撃性、焦燥、不安、抑鬱、不眠、徘徊などの周辺症状が認められています。
プレセレニン2 (PS2) 変異マウスとアミロイド前駆体タンパク質(APP) 変異マウスを交配させたダブルトランスジェニックマウス (PS2APP)を作製し、このPS2APPマウスが早期に学習障害を示す事を報告してきました。
今回この PS2APPマウスの周辺症状に及ぼす影響を検討した結果、APPマウスと比較して早期(4-5ヶ月齢)に不安症状を示しました。
PS2APPマウスは周辺症状及び学習障害を示す有用なアルツハイマー病モデルマウスです。
② 急性気道損傷モデル(誤嚥性肺炎モデル)
高齢者が発症する肺炎の多くは誤嚥性肺炎です。今回、誤嚥性肺炎と組織学上類似している急性気道損傷の動物モデルの確立を試みました。
ラットに塩酸とlipopolysaccharide (LPS) を肺に単回投与することによりモデルを作製し、肺の病理組織学的検査を実施しました。
その結果、肺胞腔内の炎症性細胞浸潤及び肺胞隔壁の浮腫が認められました。
急性気道損傷モデルは、短期間に誤嚥性肺炎の病理組織学的評価が可能なモデルです。
〜肺病理組織像(H.E.染色)〜
③ 筋萎縮モデル(サルコペニアモデル)
廃用性筋萎縮モデルに対して、運動負荷が運動能力低下の抑制、クレンブテロールの投与により筋肉量の減量を抑制することが知られています。今回、ラットに対する尾懸垂法を用いた廃用性萎縮モデルに、運動負荷及びクレンブテロールを投与して筋肉量をそれぞれの単独処置と比較しました。
その結果、運動負荷及びクレンブテロールを同時に処置することで、筋肉量の減量抑制作用が認められました。また、クレンブテロールの単独処置でも運動負荷単独処置よりも減量が抑制されました。
なお、廃用性筋萎縮モデルは、筋肉量だけでなくトレッドミルを用いた運動能力の違いも評価できるモデルです。
お知らせ
下記学会で発表致します。会場にお越しの際は是非お立ち寄りください♪
第56回 日本老年医学学術集会
2014/6/12〜14 福岡国際会議場
発表演題:PS2APPマウスの行動薬理的、生化学的及び病理組織学的評価
発表演題:廃用性筋萎縮モデルに対する運動負荷およびクレンブテロール投与の有効性
第59回 日本透析医学会学術集会・総会
2014/6/12〜15 神戸国際会議場
発表演題:透析患者を外挿したミニブタ血液透析モデルの確立
第88回 日本感染症学会学術講演会
2014/6/18〜20 ヒルトン福岡シーホーク
発表演題:アンカビンmicのモルモット実験的白癬症モデルに対する薬効試験
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